松井さん「スリランカ料理店をはじめる!と決まってからが大変でした。宝石の販売員が次の日には、レストランのマネージャーですからね。しかも、この新宿店は宝石のショールーム。営業も続けていましたからね。だから、ビルのオーナーに相談したら、驚かれましたよ。もちろん、反対されましたけど。宝石店での契約だったんですからね。当然ですね。それでも、なんとか説得しました。許可が下りたら、次はビルのオーナーの気が変わらないうちにお店を改装しようということで、1週間で店内の改装工事を始めました。」
笑い話として語ってくれているが、誰が聞いても、1週間で改装工事をはじめるのは相当大変だ。工事業者の選定、工事の打合せ、レイアウトの設計などやることはやまほどある。また、当時は、男女雇用均等法がようやく成立したばかり。女性の意見はまだまだ取り上げられないのが社会の実情だ。しかし、コートロッジにはまったく関係なかった。松井さんは、早々と工事業者と交渉し、率先してメニュー開発、スタッフ採用、材料調達など、レストランの開店準備をすすめていった。
松井さん「材料、スパイスはほとんどスリランカから直輸入しています。仕入先を探すのも大変でしたが、一番大変だったのは、シェフですね。当時はスリランカの有名ホテル出身のシェフを採用したのですが、中には同じ料理を同じ質に再現できない人もいました。だから、日本で調味料などは量をはかって料理をするもんだと教えた人もいましたね。やはり本場の味を日本で再現しようと思ったらいい人材は欠かせませんからね。」
はっきりとした断定的な口調が、こだわりを感じさせる。しかし、こだわっているは、材料、シェフだけではない。コートロッジはスタッフのレベルも高いのだ。
松井さん「『宝石を売るように、料理を提供する』という意識を徹底させています。特に言葉遣いを厳しくチェックしています。言葉の与える影響力は大きいですからね。宝石を売っていたころは、言葉一つで売上が変わってましたから。ですから、外国人だろうが日本人だろうが関係なく、スタッフにはよく言葉遣いを指導していますね。」
この店内の徹底的なプロの意識が重厚な内装と調和し、高級ホテルにいるような錯覚を起こさせる。スリランカ大使館員のパーティーがコートロッジで開催されることもあることもうなずける。